第16回 院長の朝のひとこと -徳を積む生き方-
今日のお話は、昔から伝わる生き方の知恵からひとつ紹介します。
「徳業は人の後に落つることなかれ、享楽は人の先に処することなかれ」という言葉があります。
少し難しそうに聞こえますが、言っていることはいたってシンプルです。「人に喜ばれる良いことや、人のためになる行動はためらわずに一番にやろう。
でも、楽しいことやごちそう、自分の得になるようなことは、一歩引いて周りに譲ろうね」という意味です。
私たちは忙しい日常や、ちょっとしたトラブルにぶつかると、どうしても「自分ばかり損をしているんじゃないか」とか「もっと楽をしたい」と考えがちになりますよね。
でも、みんなが「自分がいちばんに得をしたい」と前に出ると、職場でも家庭でも、どこかギスギスした空気になってしまいます。
逆に、誰もが少し面倒だなと思う仕事に「よし、やっておこう」と一番に手を伸ばしたり、疲れている家族に「先に休んでいいよ」と温かいお風呂やおいしいおかずを譲ったりできる人はどうでしょうか。
そういう人が一人いるだけで、その場の空気は一気に柔らかく、温かいものになります。
「良い行いで先頭に立ち、楽しみはみんなに譲る」。 これは決して、自分を犠牲にして我慢しろという話ではありません。
「周りを先に笑顔にする」という行動そのものが、めぐりめぐって自分自身の信頼や、居心地の良い人間関係をつくってくれる一番の近道だからです。
職場でも、家に帰ってからの時間でも構いません。今日一日の中で「あ、ここは自分が先に動いてみようかな」「これは相手に譲ってみようかな」と思える瞬間を、ぜひひとつ見つけてみてください。

