第20回 院長の朝のひとこと -余白の強さ-
今日のお話は、「あえて全部を使い切らない、余白の強さ」についてです。
仕事でも家庭でも、一生懸命に取り組んでいると、ついつい「白黒はっきりつけたい」「100パーセントやり切って完璧に相手を納得させたい」と肩に力が入ってしまうこと、ありませんか。私自身もこれまで数え切れないほどの逆境や壁にぶつかってきましたが、実は真正面から力任せに押し切ろうとしたときほど、かえって話がこじれたり、心が擦り減ったりするものでした。
昔から語り継がれている知恵に、「不尽の意(ふじんのい)」という考え方があります。少し難しい言葉に聞こえますが、意味はとてもシンプル。「自分の思いや力、勝ち分を、あえて出し切らずに少し残しておく」ということです。
たとえば、誰かのミスや意見の食い違いがあったとき。正論で10割論破してしまうと、相手は逃げ場を失って反発するか、心を閉ざしてしまいます。そんなときは、言いたいことの7〜8割を伝えたら、あとの2割はあえて飲み込んで「相手が自分で気づくための余白」として残してあげる。これが、家庭でも仕事でも人間関係を長持ちさせる一番のコツです。
運や調子が良いときも同じです。美味しいものを一人で独占せず誰かにおすそ分けするように、自分の力や余裕を少しだけ周りのために残しておく。全部を使い果たさないからこそ、次に風向きが変わったときにも踏ん張れる余裕が生まれます。
腹八分目が体に一番優しいように、人との向き合い方も「ちょっとした余白」があるくらいが一番あたたかく、しなやかで強いものです。
今日一日、もし少し行き詰まりそうになったり、誰かとぶつかりそうになったりしたら、「一息ついて、少し余白を残してみよう」と思い出してみてください。

